翔べ!ほっとエイジ〜人生100年時代の歩き方トーク
By 相川浩之(100年ハイカー)
• 時代の変化が激しい。コロナ禍が、社会のデジタル化を加速。2025年には団塊の世代が75歳以上となり、本格的な超高齢社会が到来する。地球温暖化や貧困、戦争など、グローバルに解決しなければならない問題にも直面している。
• ところが本来、知見を伝えなければならないシニア世代と、若者世代の間に深刻なコミュケーションギャップがある。時代が変わっても過去の経験や知識が無駄になるわけではないが、シニア世代も時代の変化についていけず、自信を失っている。
• 18歳で成人になったばかりの若者から、学び直したい大人まで、混迷の時代に知っておきたい知識、情報をお伝えする。
翔べ!ほっとエイジ〜人生100年時代の歩き方トークJun 13, 2023
第28回は、東京大学高齢社会総合研究機構・機構長の飯島勝矢さんが地域包括ケアと在宅医療を検証する!
第27回は、東京大学高齢社会総合研究機構・機構長の飯島勝矢さんにフレイルとその対策について聞く
飯島さんは2020年より東京大学高齢社会総合研究機構・機構長、および未来ビジョン研究センター教授。老年医学、老年学が専門で、特にフレイル予防を軸とした超高齢社会の総合まちづくり研究、在宅医療・介護連携推進を軸とする地域包括ケアシステムの構築などの研究で実績をあげている。
東京大学高齢社会総合研究機構は2009年に設置され、東大の全学部から高齢社会に精通した研究者が集まっている。
人は高齢になると必ず「虚弱」になるが、「虚弱」という日本語には抵抗がある人も多い。そこでFrailty(フレイルティ)という英語から「フレイル」という言葉を作って、前向きに予防などについての意識を高めてもらうことにした。
フレイルになる原因を探っていくと、ほかの人との関係が希薄になってくることがきっかけになって心身の衰えが始まることがわかってきた。社会性を意識した健康管理が重要だ。
飯島さんが治療を担当しているある一人暮らしのおばあちゃんは「一人だとコンビニ弁当やスーパーの惣菜を買うことが多くなるし、料理を作っても食べきれなくなる」というが、「おばあちゃんの友人が何人か集まって食事すると、ちゃんと残さず食べ切れる」。
メタボやフレイルを予防するためには様々な工夫が必要だが、難しいのは65歳から74歳までの「前期高齢者」。メタボ対策が必要なのかフレイル対策が必要なのか迷う。
飯島さんは「悪玉コレステロールの値は下げる必要はあるが、それだからといって粗食にすればいいというものではない。筋肉が衰えて、これからの生活に支障がでてくる」という。
「薬を飲んでコレステロールの値を抑えるというのも、必ずしもお勧めできない」という飯島さんは「大事なのは、ライフスタイルの前向きなアレンジ」を勧める。努力というよりは「アレンジ」といった感覚で、体を整え、「それでも届かない部分があれば、薬にも頼ればいい」と話す。
生きがいを持っていろいろなことをしてみる。その結果、他の人にも喜ばれ、社会性も高まる。そんなフレイル対策が大切だ。
フレイルには可逆性があると飯島さんは言う。
「フレイルの兆候が出てきたら、もう歳だからなどといって諦めるのではなくすぐ対策に務めてほしいと考えているから、可逆性があると強く訴えている」と飯島さんはその狙いを明らかにする。
日本老年医学会は、日本老年歯科医学会と日本サルコペニア・フレイル学会とともに、「オーラルフレイルに関する3学会合同ステートメント」を4月1日発表した。
本ステートメントでは、新たなオーラルフレイルのチェック項⽬「Oral frailty 5-item Checklist:OF-5」を紹介した。検査機器がなくてもセルフチェックができる。OF-5の5項⽬のうち、2項⽬以上に該当する場合にはオーラルフレイルに該当する。
5項目とは以下の通り。
・自身の歯は,何本ありますか? 20本以上は非該当
・半年前と比べて固いものが食べにくくなりましたか?
・お茶や汁物等でむせることがありますか?
・口の渇きが気になりますか?
・普段の会話で,言葉をはっきりと発音できないことがありますか?
画像
<プロフィール>飯島勝矢(いいじま・かつや) 医師、 医学博士、 東京大学 高齢社会総合研究機構 機構長、 未来ビジョン研究センター 教授。1990 年東京慈恵会医科大学卒業、千葉大学医学部附属病院循環器内科入局、東京大学大学院医学系研 究科加齢医学講座 助手・同講師、米国スタンフォード大学医学部研究員を経て、2016 年より東京大学 高齢社会総合研究機構教授、2020 年より同研究機構教授・機構長、および未来ビジョン研究センター 教授。 ◆内閣府「高齢社会対策大綱の策定のための検討会」構成員 ◆内閣府「一億総活躍国民会議」有識者民間議員 ◆厚生労働省「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議」構成員 ◆厚生労働省「国民健康・栄養調査企画解析検討会」構成員 ◆厚生労働省「安全で安心な店舗・施設づくり推進運動の広報及び運動習慣定着支援等事業」企画検 討会 構成員 ◆厚生労働省「全国在宅医療会議」構成員 ◆厚生労働省「人生 100 年時代に向けた高齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」構成員 ◆日本学術会議「老化分科会」「高齢者の健康分科会」ボードメンバー ◆International Alliance of Research Universities (IARU)- Ageing, longevity and health (ALH) board member ◆2022 年 2 月 遠山椿吉賞(第 7 回健康予防医療賞)受賞 【専門】老年医学、老年学(ジェロントロジー:総合老年学)、特に健康長寿実現に向けたフレイル 予防を軸とした超高齢社会の総合まちづくり研究、在宅医療介護連携推進を軸とする地域包括ケアシ ステム構築、高齢者の就労、情報システム活用によるスマートシティ、等 【近著】 『在宅時代の落とし穴 今日からできるフレイル対策』(KADOKAWA、2020 年) 『地域包括ケアのまちづくり-老いても安心して住み続けられる地域を目指す総合的な試み』(共著、 東大出版会、東京大学高齢社会総合研究機構 編、2020 年) 『東大が調べてわかった衰えない人の生活習慣』(KADOKAWA、2018 年) 『健康長寿 鍵は“フレイル”予防 〜自分でできる3つのツボ〜』(クリエイツかもがわ、2018 年) 『老いることの意味を問い直す 〜フレイルに立ち向かう〜』(クリエイツかもがわ) 『オーラルフレイル Q&A-口からはじまる健康長寿-』(共著、医学情報社) 『マンガでわかるオーラルフレイル』(共著、主婦の友社)
第26回は、緩和ケア医の山崎章郎さんに、末期がんなどの患者とどう向き合うかを聞く
山崎さんが「病院で死ぬということ」を著したのが1990年。外科医だった経験をもとに、終末期の患者がどのような最期を迎えるかについて「物語」を描くことによって、自らの最期を患者自身が決めることができない病院医療の問題点を明らかにし、反響を呼んだ。それから34年。がん医療を取り巻く環境は大きく変わっている。
まず情報提供の面では、以前はがんの告知は一般できでなかったが、患者には人生の自己決定権があるということで、インフォームド・コンセント(informed consent)やインフォームド・チョイス(informed choice)が当たり前になってきた。
また、患者たちは一人の医師だけでなく他の医師にも自分の置かれた状況について聞くことができるセカンドオピニオンも保証されるようになった。
がん治療に関しても、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害剤など新しいものが多々出ており、治療法の発展は日進月歩。
また、かつては亡くなる前でも蘇生術を施したり、人工呼吸をしたりする延命至上主義だったが、いまはそれも是正されてきている。
末期がんの患者などにはACP(アドバンス・ケア・プランニング)が重要と言われるが、必ずしもうまくいっていないが、山崎さんは患者とのコミュニケーションも丁寧に行っているという。
在宅医療をしていても最終的に入院することになる最大の理由は、家族介護の限界。
がん患者の場合では在宅療養をやめて入院する場合、2〜3週間で亡くなるケースがほとんど。逆に言えば、看取りまでの2〜3週間、自宅で介護できる体制が築ければ、在宅での看取りも可能になる。
ケアタウン小平の場合、家にいたいと言った患者の8割は在宅で看取ることができた。
終末期にはスピリチュアルケアが重要になる。人間は人として肯定されなくなったときにスピリチュアルペインを感じる。そんな時は、その人の存在を肯定してあげるようなケアが必要。 ケアタウン小平が子育て支援に取り組んだのも、自己肯定できなくなった子どもだちが学校に行きたくないと思うようになるからだ。その意味でスピリチュアルケアは重要だ。
死んだ後についての不安はもちろんあるが、それについては在宅で看取った多くの人が「死後の世界はある」と考えていた。 山崎さんは「死後の世界はある。ないと困る」と思っていると言う。そして「死後の世界での次のビジョンも考えている」と打ち明ける。
山崎さんは2009年4月から2013年3月まで武蔵野美術大学で「死の体験授業」を行った。
まず、大切なもの20個を書いてもらう。「大切な人」「大切な物」「大切な自然環境」「大切な活動」をそれぞれ5つずつ、合計20個。
そして、静かな音楽を流しながら山崎さんがシナリオを読む。
体調が悪く、病院に行き、検査を受ける。するとがんと判明する。新しい事実がわかるたびに大切なものを1つあるいは2つ消していく。
最終的に大切なものが一つ残る。
「たいていは大切な人が残る」と山崎さん。
死ぬ過程と言うのは身近な自分の大切なものを一とつひとつ失っていく過程ということを学ぶ。
期末テストは「あなたの人生があと3ヵ月だと仮定して、大切な人に別れの手紙を書きなさい」というもの。
山崎さんは「疑似体験でも、人生にとって何が大事なのかということが見えてくると、その大切なもののために生きようと思う」と語る。
第25回は、緩和ケア医の山崎章郎さんに、がん共存療法への取り組みについて聞く
名著『病院で死ぬということ』を1990年に著した後、緩和ケア医として活躍してきた山崎章郎さん。2500人を超える終末期がん患者を看取ってきた。その山崎さんが2018年に大腸がんを宣告された。抗がん剤治療を受けるものの、強い副作用が出たため治療を中断。自身ががんになったことによりいくつかの問題に気づく。抗がん剤治療を選択しない患者さんに十分な医療保険のサポートがなく、がん治療が終了すると空白の時間があり、多くの「がん難民」が不安な日々を送っているーー。
そこで、山崎さんは「がんを消すのではなく、これ以上大きくしないようにすれば、すぐに命に関わることはない」という考えのもと、普段どおりに生活しながらできる治療、しかも高額な費用がかからず誰もが受けられる「がん共存療法」を目指す。
その経緯をまとめた「ステージ4の緩和ケア医が実践する がんを悪化させない試み」 (新潮選書)について聞く。
がん共存療法に取り組む山崎さんに対し、医療者からはプラスだけでなくマイナスの反応もあった。
批判は、個人的な体験に過ぎないのではないかというもの。そこで、治療の結果を普遍化するために臨床試験に取り組み始める。
山崎さんは「緩和ケアでは、 従来の方法だけでなく、新しいアプローチや選択肢も積極的に検討していく姿勢が大切」と訴える。
がんの症状の悪化は止められないが、それを織り込んで、大事な人生の時間に集中できる支援をしている「がん共存療法」。こうした支援は緩和ケアそのものだと山崎さんは言う。
臨床試験は既存の治療法を組み合わせたものであり、新薬の治験とは異なる。 ケアタウン小平クリニックは、山崎さんの体調のこともあり、2022年6月1日より、医療法人社団悠翔会に継承され、山崎さんは同クリニック名誉院長として、訪問診療に従事している。その経緯についても聞いた。
悠翔会の佐々木淳医師とは緩和ケアについて思いを共有できたため、クリニックを託すことにしたという。
画像
<プロフィール>山崎章郎(やまざき・ふみお) 1947年、福島県出身。緩和ケア医。1975年千葉大学医学部卒業、同大学病院第一外科、国保八日市場(現・匝瑳)市民病院消化器科医長を経て、1991年聖ヨハネ会桜町病院ホスピス科部長。1997年~2022年3月聖ヨハネホスピスケア研究所所長を兼任。2005年在宅診療専門診療所(現・在宅療養支援診療所)ケアタウン小平クリニックを開設したが体調のこともあり、2022年6月1日より、同クリニックは医療法人社団悠翔会に継承され、2022年9月現在は同クリニック名誉院長として、非常勤で訪問診療に従事している。認定NPO法人コミュニティケアリンク東京・理事長。著書に『病院で死ぬということ』(主婦の友社、文春文庫)、『続・病院で死ぬということ』(同)、『家で死ぬということ』(海竜社)、『「在宅ホスピス」という仕組み』(新潮選書)など。
第24回は、在宅医の佐々木淳さんに、在宅医療を体験して感じた疑問を聞く
佐々木さんは2015年に医療・介護多職種連携のための学びのプラットフォーム「在宅医療カレッジ」をスタート。認知症ケア、高齢者ケア、地域共生社会の学びなど幅広い分野でセミナーを実施している。その内容をまとめた「在宅医療カレッジ・地域共生社会を支える多職種の学び21講」(医学書院)は、超高齢社会における医療・介護の実践的知識を学ぶための必読書になっている。
今回のインタビューは、訪問医や訪問看護師らの協力で在宅で義理の母親を看取ったキャスターの相川が、実際に在宅医療に接して感じた思い、疑問などを、この分野の第一人者である佐々木さんにぶつける形で進めた。
ーー痰の吸引や胃ろうからの栄養補給など、訪問看護師に頼ればいいと甘く考えていた。実際は退院直後の医療保険で訪問看護師に来てもらえる時でも1日2回が限度。夜中には妻と交代で寝ずの番をして、私たちで痰の吸引を行った。自宅に戻ったのでひ孫にも会えるなど、豊かな時間は過ごせたが、家族も相当ケアに絡まなければならず大変だった。
佐々木 在宅医療は大変な側面もあるが、栄養や水分摂取など工夫次第で楽にする方法もある。
ーー在宅医療をどのタイミングで始めるべきだったのか。リハビリ病院を経由したが、リハビリはほとんどできない状況になってしまっていたので、急性期病院から直接在宅というルートもあったのかと思う。
佐々木 実は急性期から自宅に直接帰るというルートは、今普通に存在する。「この状態で家では面倒をみられないだろう」と思うが、家に帰ると、環境の力で、病院で騒いでたおばあちゃんが普通のおばあちゃんに戻る。
ーー回復の見込みがない段階での延命治療はしないと決めていたが、酸素飽和度が下がり、酸素吸入の必要があった。在宅クリニックの当直医の到着が時間がかかるため救急車を呼び、救急隊に酸素吸入を行ってもらった。在宅医療で救急対応は十分?
佐々木 在宅医療には、5分〜10分で来るという機能は残念ながらないので、日頃からの備えをやっておくというのがすごく重要になる。
ーー医師も働き方改革が必要と言われる中、24時間診てくれとは言わないが、さきほどまで診察に来ていて、出してくれた薬をどうするかみたいな質問さえケータイで答えてくれず、当直医任せだった。家族としては信頼できなかった。 佐々木 やっぱりふだん診てくれる先生が最後まで診るというのが見てくれるのが、患者さんにとっては一番。ですが、1人の先生がずっと24時間対応し続ける、それを何十年も続けるというのはやはり難しい。お医者さんにとっても持続可能で、家族や患者さんにとっても安心な形でなんだろうなって思った。
一つは先生たちも休みが必要。そういう日だけは僕らのようなクリニックのお医者さんがバックアップするような仕組みがあれば、先生も頑張れるときは頑張る。 二つ目の方法としては、我々のような僕たちも大規模在宅クリニックですけが、できるだけ地域に密着しようというふうに考えて、今例えば東京だと、案件に3キロのエリアしか我々カバーしない。 そうだとしても、夜知らない先生が来て、全然話が通じないというのは、やはり困る。どうすればいいのかーー。 ここで必要なのは二つあって、一つはやっぱり主治医の先生が、患者さんご家族と信頼関係を築き、何でも相談できるっていう関係性を作ること。
確かに主治医は夜は対応できないかもしれないけれども、その代わり患者さんたちが夜、不安におののくことがないように、昼間のうちに診療を完結させる。 在宅という、お医者さん、看護師さんが普通はいない環境であっても、安心感を高めるための工夫はできるし、そもそも医者というものは単に病気を治療しに行ってるだけではなくて、患者、家族の安心を支えに行ってる、納得できる生き方を一緒に考えるために患者さんの家に行く。
ーー地域包括医療病棟というものが新設されるそうですが。
佐々木 急性期病院で治療する力はすごく強いのだけれど、ケアする力がとても弱い。だから少し足腰が弱っている人が弱らないようにケアをしていくというのが苦手なんです。
急性期病院とケアのちょうど間ぐらいの機能を持った役割のところが今後必要なんじゃないかっていうことで多分考えられたんだと思います。何かあったら救急車で大きい病院に運ばれるのは、安心感はあるかもしれないけど、お年寄りは、そのまま寝たきりになる。 だからそうじゃなくてもうちょっと高齢の方々の生活に近いところで、ケアもできて、ある程度医療もできという新しい医療が提供できる病院ってのが必要なんじゃないかってことで新設するようだ。 〈プロフィール〉佐々木淳(ささき・じゅん)1998年筑波大学医学専門学群卒業。社会福祉法人三井記念病院内科/消化器内科、東京大学医学部附属病院消化器内科等を経て、2006年に最初の在宅療養支援診療所を開設。2008年 医療法人社団悠翔会に法人化、理事長就任。2021年より 内閣府・規制改革推進会議・専門委員。現在、首都圏ならびに愛知県(知多半島)、鹿児島県(与論町)、沖縄県(南風原町・石垣島)に全24拠点を展開。約8,000名の在宅患者さんへ24時間対応の在宅総合診療を行っている。
第23回は、楊井 人文さんに、デマに踊らされない方法について聞く
私たちがデマや不正確なニュースなどにだまされないためにはどうすればいいのか。 楊井さんは「SNSの時代になって、昔は影響力を持たなかった本無名な人たちのつぶやきさえ、一瞬で世界に広がるようになった。新しい技術によって、こういう現象が生まれた」とその背景を説明した上で、「不安だとか、憤りだとか、敵対心とか、そういったものが原動力になって、そういった情報が広がりやすい。これは昔も今も変わらない」と話す。
「人間の不安とか、怒りの感情を煽るようなものには、特に注意が必要」だ。 ネット上に溢れるデマや怪しい情報をファクトチェックで防ぐことはできるのか? 楊井さんは「社会的な影響力、特に負の影響を及ぼす恐れの高いもは優先的にピックアップしてチェックするしかないが、現実にはファクトチェック団体、ファクトチェッカーのリソースは限られている。そして、難しいものよりも簡単、比較的やりやすいものを選んでチェックする傾向もある」と限界を認める。
怪しい情報には近づかない、拡散しないということを各人が肝に銘ずるべきという意見もあるが、楊井さんは「人間はコミュニケーションが大好き。SNSのビジネスモデルには情報を拡散させる工夫も織り込まれている。SNSのビジネスモデルはそれをいかに拡散させるかで、成田ビジネスとして成り立たせた面があって、安易に書き込みを信じるなと言っても、人は自分が信じている人、親しみを持っている人の情報は、信じてしまうもの」と「初めから疑ってかかる」ことの限界を感じている。
一方で楊井さんは「ただ拡散しないという消極的な態度もだけではなくて、ちょっとこれは事実と違うのではないですかと積極的にいうことも必要」という。
旧Twitter(X)はコミュニティノートというツールも用意している。「メディアやファクトチェック団体への情報提供も一つの方法だと思う」(楊井さん)。 しかし、異議を唱えたりすると攻撃される心配はないのか? 「Xのコミュニティノートは、指摘した人が攻撃を受けないように、ノートのメンバーは匿名で怪しいツイートに対して、異議を申し立てられる」(楊井さん)。 コミュニティノートに書かれたことに意義を唱えるノートもあり、匿名同士の泥仕合になることも。しかし、楊井さんは「冷静に議論を行うのであれば、大事な場」とみる。
楊井さんは「既存の伝統的なメディアの役割は大きい」と話す。「テレビや新聞も疑わしいところもあるが、情報のベースにはなる。そこでリテラシーを身につけた上で、ネット情報の海に入らないと、溺れてしまう。伝統のメディアはもっと信頼され、重要なのだと気づいてもらうべきで、だからこそ伝統メディアはきちんと情報を伝えることが必要」と伝統メディアの役割を強調する。
「ジャーナリズムをもっと強くしなければならない、というのが大元にある。ジャーナリズムがきちんと機能するかどうかで、社会は大きく変わる、それだけ責任も大きい」「特にコロナ禍では、全体主義的な空気に包まれ、メディアや専門家の言説に社会が支配され、検証ジャーナリズムがあまりにも機能していないと感じることが多かった。言説中心型ファクトチェックの枠をを超えて、独自の調査、データ分析、法的視点からの検証にもとりくんできた」(楊井さん)。
「コロナ禍では、メディアもファクトチェックも機能不全に陥っていた」と楊井さんはみている。「いろいろなものを、モグラたたきのように調べてはいたが、本質的なところを、きちんと検証できていたのか疑問」という。 そんな中で、個別の言説・情報に焦点を当ててその内容が正確かどうかを検証する「言説中心型ファクトチェック」が現在の主流だが、議論のある現実の問題にフォーカスを当てて人々の理解に役立つ事実を検証する「問題中心型ファクトチェック」も提唱されている。「まだやっているところはあまりないが」(楊井さん)。
例えば、福島原発のタンクから放出される処理水の問題の全体像を明らかにするファクトチェック。「気をつけなければいけないのは、政府が言ってることを整理すればいいというものではない。政府や東電の公式情報も疑ってかかということも含めて、ファクトチェックすることをやるべきだが、残念ながらまだやれていない」(楊井さん)。
最近注目されている生成AIはどのようにファクトチェエクに絡んでくるのだろう。 楊井さんは「画像が本物か、改ざんされているかを見破るといったAIが得意な分野は、AIにある程度頑張ってもらうことは今後あり得るが、AIが言ってることに最終的に責任を持つのはやはり人間。それを忘れてしまうと、AIの出した情報に人間が振り回される」と注意を喚起する。
熊本地震でライオンが放たれたという情報はフェイクだったが、それがAIによって判明したとしても、本当に熊本地震で、ライオンが動物園から放たれていないという証明にはならない。ジャーナリストならば必ず動物園に取材するだろうし警察にも確認する。必ず人間の作業が残る」(楊井さん)。 ファクトチェックは誰が担い手になるべきなのだろうか。 楊井さんは「ジャーナリズムが中心になるべき」とみる。
ネットにデマが溢れ、偽情報問題がっていうのがクローズアップされてくると、G7とかでも、声明にも盛り込まれたり、国連がこのテーマに取り上げるなど、偽情報対策の必要性が、世界中で叫ばれるようになってきた。楊井さんは「これは正直危機感を持っている」と話す。 「偽情報自体も問題だが、あまりその危機を過大視するのもを危機」と思っている。「偽情報対策を行政が前面に出て行うということには、気をつけなければいけない」。 何が本当なのかというのは、そう簡単に答えの出る問題でないことが多い。 スモールファクトですら、真偽が議論になることもあるくらいなので、安易にこれが偽情報と政府などが公的な立場で言い切ると、みんなそちらの方に流れてしまう」。 総務省のプラットフォームサービスに関する研究会でも偽情報対策を議論してきたが、楊井さんは「ずっとファクトチェックは民間で主導で、じっくりやっていくべきだと主張してきた」という。しかし、最近、政府が前面に出るようになってきたという。 「ここ数年、コロナは厚生労働省、ウクライナ危機など安全保障の問題では内閣官房が中心になって、行政が自ら偽情報対策という名のもとで、いろいろな動きをしている」。楊井さんは「これをメディアはほとんど無批判に報道するが、これはちょっとまずいことだと思う。政府が偽情報対策に乗り出すというとき、一体何をするのかを注意深く、ジャーナリズムは見ていかないといけない。それが政府の言論統制に繋がる可能性もあるからだ」と危惧する。 楊井さんは「ファクトチェックはまだ試行錯誤の段階。ただ、10年近くファクトチェックの活動に携わってきて、課題も見えてきたので、私なりにいろんな危機感もありますのでそれをどうやって一般社会の向けて発信していくか考えている」と話していた。
第22回は、楊井 人文さんに、ファクトチェックについて聞く
楊井さんはファクトチェックの普及・推進活動を行う非営利団体であるファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)の発足から事務局長を務め、2023年6月に任期満了で退任。 「これからは、より自由な個人の立場でファクトチェックのあり方について考察や支援を行っていく」とのこと。
「ファクトチェックとは、ある情報が本当かどうかを一から調べ直すこと。一言でいえば『真偽検証』と楊井さん。 「世の中で広がっている言説、情報の内容が事実に基づいているかどうかを調査し、真偽を判断し、調査した結果を人々に順序立てて解説する活動」だ。
関心を持ったきっかけは、「2011年の東日本大震災と福島原発事故」。大きな不安の中、政府やメディアに対する不信が高まり、ネット上に様々な情報を飛び交った。「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)をめぐる誤報 もあり、 メディアの信頼低下を痛感した」という。
「メディア報道の正確性・品質を高めるための第三者検証機関が必要ではないか」と考えた楊井さんは 日本報道検証機構(GoHoo=ごふー)を立ち上げて、全国紙を中心に誤報を検証・可視化する活動を展開した。
楊井さんは、「もっと遡ると、産経新聞記者時代(2002〜2003)に、イラク戦争で大量破壊兵器疑惑を報じたメディアのあり方に強く幻滅した」と振り返る。 しかし、楊井さんは「GoHooだけでは力不足」と考え、「ファクトチェック・ジャーナリズム」を日本にも広げていく必要を感じ、 2017年 FIJを立ち上げた。 FIJはメディア出身者やアカデミズムの人、実務の人などが集まって発足した。 2019年にGoHooは活動を閉じることになった。ファクトチェック実践と人材育成も兼ねて、共著を出したNHK出身の立岩陽一郎氏率いるNPOメディア「InFact」に参画。ファクトチェック部門を立ち上げ、田島輔(現チーフエディター)、大谷友也(リトマス編集長)を引き入れて養成した。楊井さんは、FIJの事務局長に専念するためInFactを1年余りで離職した。
InFactは今年、IFCNという国際ファクトチェックネットワークの際団体に正式認証も受けた。
ネット誕生のはるか前に、メディアの事前チェックの営みとしてのファクトチェックが1920年代のアメリカで生まれたと言われている。
現在のファクトチェックは、ネットが誕生してまもない1994年ごろに生まれたSnopesという様々な噂を検証するサイトが先駆け。
2000年代に入り、大統領候補など、政治家の発言を検証するポリティカルファクトチェックが盛んになった。代表的なのがFactcheck.org、ポリティファクト。2010年代に入り、世界各国にネット言説を検証するファクトチェックが広がった。
ファクトチェックには3つのジャンルがあり、「公的言説」「社会的言説」「無名言説」に分けられる 現在「無名言説」のファクトチェックが主流になりつつあるが、個人的には「公的言説」「社会的言説」の方が重要ではないかと考えている。 楊井さんによると、「公的言説」「社会的言説」のチェックは相当難しいが、専門家の力を借りたり、インターネットで情報を集めることで、かつてよりファクトチェックはしやすくなっている。 ファクトチェックをするにあたっては、「IFCNファクトチェック倫理綱領」が5つの原則を定めている。
① 非党派性・公正性
② 情報源の基準と透明性
③ 資金源・組織の透明性
④ 方法論の基準と透明性
⑤ オープンで誠実な訂正
の5つだ。
これらの原則は3つのエッセンスにまとめられる。
①公正 Fairness
②透明 Transparency
③誠実 Integrity (Honestness)
だ。
Fairnessは、基準を作ってファクトチェックするということ。いろんなファクトチェックをするにあたって、どの立場であっても、同じ基準で検証するということだ。どちらかに肩入れするとか、どちらかを厳しくしたり甘くしたりするといったことはしないでファクトチェックするというのがFairnessだ。
Transparencyとは、ファクトチェックをしている人間は、どういう身分で、どういう背景でファクトチェックをしてりる人たちなのかを、きちんとオープンにするということだ。
ファクトチェックだからといって100%正しいわけではない。間違った場合は、訂正をきちんとオープンにやっていかなければならないという考え方だ。
これらはファクトチェックをするにあたっての心構えだが、実際にファクトチェックを行うに際しては、3つのの基本ルールがある。
①事実と意見を切り分け、検証する事実問題の範囲を特定する。
②特定の見解・立場に依拠せず、いずれの立場からみても公正に検証。
③調査結果の情報源を明示し、再検証できるようにする。
ただ、「何をファクトチェックするのかっについては、あまりルールがなく、ファクトチェッカーとして何をファクトチェックするかのの判断は、それぞれのファクトチェッカーが決めているのが現状」という。
<プロフィール>楊井人文(やない・ひとふみ)慶應義塾大学総合政策学部卒業後、産経新聞記者を経て、2008年、弁護士登録。2012年より誤報検証サイトGoHooを運営(〜2019年)。2017年、ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)発起人、事務局長を6年近く務め、2023年退任。2018年、共著『ファクトチェックとは何か』を出版(尾崎行雄記念財団ブックオブイヤー受賞)。翌年から調査報道NPO・InFactのファクトチェック担当編集長を1年あまり務める。2023年、Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。現在、ベリーベスト法律事務所弁護士、日本公共利益研究所主任研究員。
キャスターは町亞聖&相川浩之
第21回は、和田秀樹さんに、シン・老人の時代到来について聞く
シン・老人は知的レベルが高く、若い頃に贅沢を知っている高齢者たちを指す。 「いわゆる先進国としての日本の中でほとんどの人生を送っておられる方々でなわけで、今までの高齢者像とは違って、ファッションも美食も楽しむ層。
「高齢者は年金がある分、収入面では妥協ができる。だから、若い頃に一度やってみたかった職業などにどんどんチャレンジすべきだ」と和田さん。例えば映画制作の裏方。小道具などをやってもらうと若いスタッフでは気づかないことも気づいてくれそう。映画制作の現場を知った上で、自分で映画制作をしてみるのもいい。いまは安価に動画が作れるので、お金がなくても映像作品は作れる。
特に今後注目されるのはAIの活用だ。「AIが老人を助け、あらゆるサービスを提供してくれるようになる」
「シン・老人は、失敗を恐れずどんどん実験を繰り返すべき」と提案する。 自分ならではの食べ歩き情報を発信するのもよし、ファッションで冒険するのもよし。 日本を救う7つのシン。
進…失敗を恐れず、積極的に進歩的なことに挑む
深…知識や考え方に深みがあり、洞察力に優れる芯…意志が強く、信条を守り、生き方に芯がある
親…共感力や好感度が高く、誰からも親しまれる
心…心構えが前向きで意欲や好奇心に満ちている
身…元気に長生きするための身体ケアを怠らない
紳…品格があり、紳士淑女として立ち居振る舞う
赤瀬川原平さんの「老人力」ブームど同様、シン・老人力が老人のイメージを一新するかもしれない。
第20回は精神科医の和田秀樹さんにシン・老人力について聞く
この作品は、認知症で問題行動を繰り返す大学の名誉教授役を務めた橋爪功さんや、父親の介護で葛藤する娘役の秋吉久美子さんらが出演、話題を呼んだ。
「この間で印象的だったことは?」との質問に和田は「3年間のコロナ禍」と語る。「高齢者は会話や散歩などをすることで足腰や脳の力が保たれる」が「自粛生活で、脳や足腰の機能が衰えた人が多かった」と和田さん。
「日本は臓器別診療が進み、専門家が患者をみる」(和田さん)国だが、高齢者には、さまざまな疾患があり、一人の人間として向き合わないと、誤った医療を施すことにもつながる。「しかし、コロナ禍では感染対策ばかりが優先され、高齢者は自粛で免疫力が大幅に落ちてしまった。「そういった点に警鐘を鳴らす人は少なかった」。
そんな流れの中で昨年、和田さんが著した『70歳が老化の分かれ道』と、『80歳の壁』は、ベストセラーに。高齢者を改めて考える時代の到来と思いきや、テレビを見ていると、「高齢者」についてしっかり論じる番組も高齢者を楽しませる番組も皆無に近く「70代、80代のライフスタイルを取り上げる本がベストセラーになる時代なのにテレビメディアでは相変わらず若者ばかりを意識した番組づくりが続く」と和田さんは苦言を呈する。
岸田政権は少子化対策に全力を投入しようとしているが、「政策がうまくいったとしても効果が表れるのは20年後。やはり高齢者を要介護状態にしない。元気高齢者を増やしていくというのが少子高齢化対策の要ではないか」という。
政府は、将来の労働力不足を危惧するが「AI化やロボット化により、将来的には人手不足ではなく人余りが起こる可能性さえある」と和田さんは予想する。和田さんは最近、高齢者のIT普及に尽力する若宮正子さんとの対談。「若宮さんに限らず、高齢者はスマホやパソコンを使いこなしている。高齢者はITが苦手というのは思い込み」とし、こうした思い込みを払拭するために著したのが「シン・老人力」であると語る。
第19回は坂村健さんにチャットGPTとの付き合い方を聞く
超高齢化、デジタル化、グローバル化が進み、物の見方や価値観が大きく変わろうとしている人生100年時代。そんな人生100年時代をゲストとともに語り合う。
今回のゲストはゲストは、コンピューター科学者の坂村健さん。
坂村さんは2017年4月から東洋大学情報連携学部の学部長を務めている。
学部の構想からIoT化された校舎まですべてを考え、学部長として、ネットワーク時代に対応した新しいイノベーションを起こせる人間を創出することを目的にしている。
情報連携学部のブランド名はINIAD(イニアド)。Information Networking Innovation and Designの略。
従来の学問分野はネット社会誕生以前に作られたものだ、そこで、イニアドでは「文・芸・理」の融合を図った。
コンピュータサイエンスがベースにあり、プログラムを書けるようになるために基礎知識を学ぶが、そこからイノベーションを起こすにはチーム作りやダイバーシティ的な考え方が重要。
そして、失敗してもくじけず何度も挑戦することが大切だ。
東洋大学を創立した井上円了氏は哲学の先生であり、生涯教育の重要性を指摘していた。
そこで、東洋大学でも生涯教育が重要だと感じ、リカレント教育のために独自のプログラムを提供している。
社会人は、教科書に出てくる例題が難しく、それがハードルになっているので、所属企業の売上高データなどを使って、データ分析の授業なども行っている。
ChatGPTは革新的なAIであり、大学でもいち早く教育に取り入れようと準備をしていた。学生は自由にChatGPTを論文作成などに使うことができる。
もちろん、ChatGPTに限らず、文献や資料を使う場合は出典を明確にするのは当たり前だが、大切なのは引用する本人がそれについて理解し、納得していることが大前提になる。
大人として守るべきルールや主体性をもって使うのであれば、自由にChatGPTを使うことができる。
技術を社会で導入する際には制度設計やルール整備も重要。
道路交通法のように、AIに関する法律やルールを作る必要がある。
AIは完全ではなく、人間が確認しながら使っていく必要がある。
生成系AIを使った幼児教育や大学生の質問対応は有用だと思う。
AIは強化学習を使えば精度向上や誤り訂正が可能。
AI技術者はプロンプトエンジニアと呼ばれ、今後役割が期待されている。
生成系AIは今後ますます普及し、様々な仕事に普通に使われるようになる。
AIをどう使うかは人間が決めるべきであり、AIに自意識まで持たせることには反対だ。
AIに関しては議論や意見交換が重要であり、まず自分で試してみてほしい。
DXは最新の情報システムを導入して、仕事のやり方を変えること。
新しいテクノロジーを導入する際に、ガバナンス、セキュリティ、知的所有権などの制度も考慮する必要がある。
部署ごとにバラバラに電子化するのではなく、まずはルールや規則を決めてから一挙に導入することが重要。
ChatGPTは「くたびれない変な人」。そのわかりやすい表現に町はいたく感激。
第18回はコンピューター科学者の坂村健さんに「チャットGPT」について聞く
超高齢化、デジタル化、グローバル化が進み、物の見方や価値観が大きく変わろうとしている人生100年時代。そんな人生100年時代をゲストとともに語り合う。
今回のゲストはゲストは、コンピューター科学者の坂村健さん。
1984年にTRON(トロン)プロジェクトを開始。あらゆるモノがネットにつながるIoTのコンセプトをこのプロジェクトでいち早く実現した。2017年4月から東洋大学情報連携学部の学部長を務めている。
トロンの電脳住宅は100坪ぐらいのコンピューター制御された住宅。
外気温に合わせて、エアコンを制御するだけでなく、窓を開けて風を通すなどの機能を実現。
トイレメーカーとは尿を自動分析する装置付きのトイレを開発した。
組み込みコンピューターが今後、どんどん入ってくることを示すために、IoTの先駆けである住宅で組み込みコンピューターを使った。
TRONプロジェクトはオープンアーキテクチャの考え方を採用。80年代からソースコードを公開していた。
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)から今年、IEEE井深大コンシューマー・テクノロジー賞を受賞。
組み込み型コンピューターのOSとしてTRONは、デファクトスタンダードになった。
ChatGPTはAIの歴史において革新的な存在であり、技術的なジャンプをもたらす。
以前のAIは認識系であったが、現在は生成系に移行しており、すでにあるものを分析するだけではなく連想によって、新しいものを作り出せるようになった。
最近のAIは人間の脳をベースにしており、人間と同じ程度の知能を持てるようになった。ただ、自意識を持つまでには発達していない。
AIに自意識を持たせることは可能と言われているが、そこまではやらない方が良いと思う。
AIについてはリスクや倫理的問題も考慮しなければならない。
また、テクノロジーを実装していくためには技術だけではなく、支える制度の整備や人材育成も重要。
<プロフィール>坂村健(さかむら・けん)1951年東京生まれ。
INIAD(東洋大学情報連携学部)学部長、工学博士、東京大学名誉教授。
IEEEライフ・フェロー、ゴールデンコアメンバー。
2002年1月よりYRPユビキタス・ネットワーキング研究所長。
オープンなコンピュータアーキテクチャTRONを構築。現在TRONはIoTのためのIEEE(米国電気電子学会)標準組込OSとして世界中で多数使われおり、2023年「TRONリアルタイムOS ファミリー」 がIEEE Milestone として認定された。
2015年ITU(国際電気通信連合)創設150周年を記念して、情報通信のイノベーション、促進、発展を通じて、世界中の人々の生活向上に多大な功績のあった世界の6人の中の一人としてITU150Awardを受賞。2022年 IEEE Masaru Ibuka Consumer Technology Award受賞。他に2006年日本学士院賞、2003年紫綬褒章。著書に『DXとは何か』、『IoTとは何か』(角川書店)、イノベーションはいかに起こすか』(NHK出版)など多数。
第17回はITエバンジェリストの若宮正子さん。人生100年時代の歩き方を聞く
2023年4月21日収録。キャスターは町亞聖(フリーアナウンサー)と相川浩之(ジャーナリスト)。
今回の ゲストはITエバンジェリスト若宮正子さん。 若宮さんは88歳だが、誕生日も仕事で出かけるなど、毎日忙しい。 若宮さんは好奇心旺盛で、スマートフォンも早くから使っている。 三菱銀行時代はシステム部員ではなかったが、企画開発セクションにいたため、IT社会に対しては関心が強かった。 退職後は母親の介護をしながらパソコンを打っていた。SNSをやっていたので、介護をしていても孤独ではなかったという。
なぜ若宮さんは好奇心が強い? 小学校の低学年で戦争に巻き込まれ、勉強ができなかったので、学びに対する希求が強いのだと思うと若宮さんは自己分析する。 いまはITを使えば、誰でも簡単に学ぶことができる。 政府の委員もしているので勉強しなければならないことが多く、毎日勉強している。
シニアたちへのアドバイスは? 「やりたかったことを始めてみては」と若宮さん。 若宮さんは失敗してもくよくよしない。 熟年男性は新しいものになかなか関心が向かない。 関心を持っても、まずやらずに、一人で本を読んで勉強したりする。 そんな様子が徒然草にも描かれていて、男性は変わらないのだと思う。 「畳でバタフライの練習をするのではなく、泳ぎに行って試してほしい」と若宮さん語る。
男性は定年後、何をするかで悩むようだが、若宮さんは「ボランティア活動に参加して仲間を作ってみたら」という。志が高い仲間ができるし、感謝されると嬉しいものだ。 「人付き合いは共感できる部分を見つけることが大切」と若宮さん。 違いを認めることがダイバーシティの第一歩だが、違いがあるから楽しい。
若宮さんは海外旅行が好きだが「海外旅行が楽しいのは海外に行くと、その国と日本の違い、自分と外国人の違いを感じることができるからだ」と話す。 エストニアでエクセルアートのワークショップで、現地の人と交流した。「今着ている服もエクセルアートでデザインした」(若宮さん)。 デジタルとアナログの両方があることが生活を豊かにする 電子書籍もいいけど、紙の本も大切。 「選択肢が増えることが大事」と若宮さんは強調する。 熱中小学校の教諭も務める若宮さんに、なぜ小学生に戻るのが大事かと聞いた。 「小学校時代に戻って、小学生のような新鮮な感覚で、新しい時代を知ることが大事」だからだ、 大人になっても知らないことを言えることが大事。
若宮さんは健康を考えすぎないようにしている。
これからどんな未来になる? 「気候変動やコロナ禍など、未来は予測できない部分も多く、柔軟性が重要」と若宮さん。 好奇心を忘れず、世の中の変化とは柔軟に向き合って人生100年時代を楽しんで過ごすーーことを若宮さんから学んだ。
<プロフィール>若宮正子(わかみや・まさこ)ITエバンジェリスト。1935年4月19日生まれ。高校卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に定年まで勤務。58歳からパソコンを独学で習得。2017年、ゲームアプリ「hinadan」を公開。これにより米国アップル社CEOよりWWDCに特別招待された。2017年より数々の政府主催会議の構成員を勤める。 現在は、 ・一般社団法人メロウ俱楽部 理事 ・熱中小学校教諭(一般社団法人熱中学園) ・公益社団法人 NEXT VISION理事 ・岸田首相主催・デジタル田園都市国家構想実現会議構成員 ・デジタル庁デジタル社会構想会議構成員 ・総務省デジタル活用支援アドバイザリーボード構成員
第16回はITエバンジェリストの若宮正子さん。DXについて聞く
2023年4月21日収録。キャスターは町亞聖(フリーアナウンサー)と相川浩之(ジャーナリスト)。
今回のゲストは81歳でiPhone向けアプリ「hinadan」を開発し、アップルのティム・クックCEOに開発者向け国際会議に招待された若宮正子さん。
若宮さんは、ITを社会変革に使うことが大事と考え、デジタル庁デジタル社会構想会議でも、様々な具体的な提案をしている。 若宮さんはアプリ開発で注目されたが、「コーディングを手掛けることよりも何か作りたいという気持ちの方が大事」という。また、「スマホ講習は操作手順だけでなく、スマホの必要性や楽しさも伝えるべきである」と主張する。
デジタル技術を導入することで社会改革を目指したいという若宮さんは、「デジタル改革で、日本人の幸福度向上に貢献する社会を作りたい」と話す。 メロウ倶楽部ではお互いに自分のできることを教え合って、サポートし合う形式を取っている。 デジタル庁の会議で委員を務める村井純さんをゲストにお呼びするなど、新しいITの動向にはみな関心がある。高齢者の考えを知りたいと若い人の参加も増えている。
若宮さんは「IT改革により制度や社会構造に柔軟性と多様性を持たせることが大切」と強調。 例えば、コロナ禍ではリモートでのコミュニケーションが進んだ。「日本の就活や教育においても、より柔軟な制度が必要」と若宮さん。
デジタルノマド的な生活も可能に。海外旅行をしながら仕事をしたり、教育を受けたりすることもできるようになる。
若宮さんは上質で良心的なSNSの利用を提案する。「SNSは炎上も多いが、相手の話を聞いて勉強し合うことが必要。共感できるところは共感し、違いは理解する姿勢が大切だ」。 海外では、困ったことをインターネットに書き込むと、時間のある人が助けてくれたりする仕組みがあり、こうした共助のITを日本でも広げる必要がある。
デンマークやエストニアで電子政府が進んでいる。なぜかというと「政府への国民の信頼が高い」のが理由。「ガラス張りで情報を公開しているため、政府への信頼が厚い」(若宮さん)。 日本の電子政府は遅れているが、「マイナンバーカードはポイントで加入を促進しているが、役に立つものならお金を払っても加入する。もっとメリットを伝えるべきだ」と若宮さんは結んだ。
<プロフィール>若宮正子(わかみや・まさこ)ITエバンジェリスト。1935年4月19日生まれ。高校卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に定年まで勤務。58歳からパソコンを独学で習得。2017年、ゲームアプリ「hinadan」を公開。これにより米国アップル社CEOよりWWDCに特別招待された。2017年より数々の政府主催会議の構成員を勤める。 現在は、 ・一般社団法人メロウ俱楽部 理事 ・熱中小学校教諭(一般社団法人熱中学園) ・公益社団法人 NEXT VISION理事 ・岸田首相主催・デジタル田園都市国家構想実現会議構成員 ・デジタル庁デジタル社会構想会議構成員 ・総務省デジタル活用支援アドバイザリーボード構成員
第15回は、経営コンサルタントの濱田孝一さん。終の棲家について聞く
2023年3月14日収録。キャスターは町亞聖(フリーアナウンサー)と相川浩之(ジャーナリスト)。
今回のゲストは、高齢者介護に詳しい経営コンサルタントの濱田孝一さん。 昨年末に、『高齢者住宅バブルは崩壊する』という本を出した。
終の棲家になるような高齢者住宅に住みたい。 相川、町はどのような終の棲家を考えているのか。 相川は、自宅で可能な限り暮らしたいと思っているが、要介護度が高くなった時には施設に入ることもやむを得ないと考えている。「母親も在宅で暮らしてもらおうと思っていたが、認知症がひどくなりグループホームに入居した」。「グループホームはアットホームでケアマネジャーが親身になって母を支えてくれた」。
町は、一人暮らしをしているが、もし具合が悪くなった場合に不安を感じており、独身の友人と一緒に住むことも考えている。介護サービスをうまく使って、上手に晩年を過ごしたいという。
濱田さんは「家族による介護は限界があり、最終的にはプロに任せた方が良い」とアドバイスする。 「家族の役割は家族にしかできないこと。契約や判断、死後の後始末など」。 そして、「誰に介護を頼むか、きちっと準備をしておくことは大切だ」という。
自宅で生活する場合は「できるだけ長く自宅で生活できるように、自宅をバリアフリーにするなどシステムを構築することが大切。そして自宅で暮らせなくなったら老人ホームやグループホームにに入るのが基本」。
自宅を売ってそれを入居一時金に充てて有料老人ホームに入居する人がいるが、リスクは高い。有料老人ホームは運営会社が倒産する可能性もあるからだ。そうなるとお金も返ってこないし、「出ていってくれ」と言われる可能性もある。
終の棲家になるような高齢者住宅をどのように探せばいいか。 公的な相談窓口はあるのか。 民間の紹介センターが多数存在し、老人ホームなどの情報提供を行っている。 紹介業者には法的な資格が必要ではなく、紹介した有料老人ホームからお金をもらうケースが多い。 紹介業者は中立を装っているが、実際には営業のアウトソーシングであり、トラブルも多発している。
ケアマネージャーに相談しても、彼らは高齢者住宅の専門家ではない。 高齢者住宅の相談に乗れる人材不足が問題視されている 行政が高齢者住宅の専門センターを作り、指導監査やトラブル対応・苦情対応など一体的なサポート体制を整える必要性がある。
高齢者住宅選びは難しいが、駄目な老人ホームには特徴がある。 駄目なところは情報開示不足であり、価格の説明の曖昧だ。 住宅を選ぶ際には、自立向けの住宅と要介護保険住宅の違いも理解する必要がある。 曖昧な説明をする施設は信用できない。 美辞麗句やビジネストークが多い施設も基本的に避けた方が良い。 良い老人ホームと悪い老人ホームの違いはリスク管理ができているかどうか。
低所得者を囲い込むビジネスも横行している。 ケアマネージャーを分離させ、ケアマネジメントを改善する必要がある 介護報酬を上げ、独立経営を可能にすることで囲い込みビジネスは潰れる可能性がある。 高齢者住宅の価格が安い理由は「囲い込み」であることが多い。 介護サービスを系列の介護事業者が担い、必ずしも必要ではないサービスなどもケアプランに盛り込むことにより、利益を得る。
それでは、囲い込みであることにどう気づけばいいのか。 濱田さんは「特養よりも15万円以下の低価格な住宅は、基本的にありえない」という。 低価格の高齢者住宅は必ずしも必要ではない介護サービスを提供し、社会保障費が膨らんでしまっている。 サ高住の場合、自宅にいる要介護者が介護サービスを依頼するのと同じ介護報酬単価なのだが、同じ建物に高齢者が居住するため、効率よく、介護サービスが提供でき、それゆえに、利益がでやすい。ただ、これを「企業努力:と認められるかといえば疑問だ。 もちろん系列の介護事業者にサービスを依頼すること自体は問題ないが、不要なサービスやお年寄りが望まないサービスを提供しようとするのには問題がある。 制度設計が悪く報酬の単価の決め方も実態に即していない。これは国が見直す必要がある。
高齢者住宅の経営は大変だが、投資ファンドも参入しており利益を出している。そのお金が介護スタッフに回らないのも問題だ。 「高齢者住宅に限らず、これからの介護サービスは国ではなく自治体が仕切る形になる」と濱田さんは言う。 地域包括ケアが2025年、本格スタートし、「医療介護の地方分権」が始まる。 市町村が介護保険制度の保険者であり、地域包括ケアシステムを中心に行うことになる 国からの財政支援はほとんど受けられないため、自治体によって介護サービスの質や内容が異なってくる。 地域ニーズに合わせて介護システムを整える必要があるが、財源や人材確保は各自治体の責任であるため、介護サービスのの質は自治体によって変わってくる。 老人ホームを指導監査することは自治体の責任だが、実際にはできていない。 厚生労働省と国交省が縦割りで似たような高齢者住宅を展開しており、統一した基準で管理運営することができない。自治体では住宅部局と福祉部局に管轄が分かれており、統一感がなく指導監査体制が乱れている 地域包括ケアが本格始動すると、自治体は国から最適なサービスを構築するよう求めらるが、自治体によって使える社会保障費が異なり、潰れる自治体も出てくる可能性がある。 高齢者住宅バブル崩壊と社会保障全般の問題を俯瞰して考える必要性がある。
<プロフィール>濱田孝一(はまだ・こういち)1967年生まれ。経営コンサルタント。1990年立命館大学経済学部卒業。旧第一勧業銀行入行。その後、介護職員、社会福祉法人マネジャーを経て、2002年にコンサルティング会社を設立。現在は「高住経ネット」の主幹として、高齢者住宅、介護ビジネス、介護人材育成などのコンサルティング・講演・執筆を行っている。社会福祉士、介護支援専門員、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。
第14回は経営コンサルタントの濱田孝一さんに高齢者住宅バブルについて聞く
2023年3月14日収録。キャスターは町亞聖(フリーアナウンサー)と相川浩之(ジャーナリスト)。 ゲストは、高齢者介護に詳しい経営コンサルタントの濱田孝一さん。
昨年末に、『高齢者住宅バブルは崩壊する』という本を出した。 とてもセンセーショナルなタイトル。高齢者住宅バブルが崩壊し、高齢者住宅を提供する企業が破綻すれば多くの高齢者は路頭に迷う。高齢者だけではなくてその家族も巻き込まれることになるが、一体どういうことなのか、話を聞く。
濱田さんは銀行マンから介護現場に身を投じた異色の経歴を持つ。 直接、人をサポートする仕事がしたいと思ったのがきっかけで、おじいちゃん、おばあちゃんと話をするのは楽しかったと言う。でも、当時は素手でオムツ替えをしたりいなければならず、抵抗感やカルチャーショックはあったという。ただ、介護保険制度を本当に地の通ったものにするにはこうした「現場」の体験は重要。常に介護の本質を考えるコンサルタントとして活躍している。
85歳以上になると、要介護になる人は全体の6割になる。そして重度要介護になる人は4人に1人の割合になる。85歳以上の高齢者が増えると介護や医療問題に直結する 84歳までの人口はピークを過ぎており、今後は85歳以上の高齢者が増え続ける。 2035年から2070年まで35年間、後期高齢者1000万人時代が続くことが予想される。 労働人口も減少していくため、より厳しい時代になっていく可能性がある。
高齢者住宅は自立とか要支援の高齢者向けと、要介護高齢者向けで違う 特別養護老人ホームやケアハウスは社会福祉法人がやっている老人福祉施設。 民間の高齢者住宅には有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)がある。 どんな介護サービスが受けられるかで、有料老人ホームは介護付きと住宅型に分かれ、 特別養護老人ホームやケアハウスはケアが必要な状態で入居するものだが、民間の住宅型では介護必要前でも入居可能。 高齢者住宅には、賃貸のマンションやアパートがあるが、「高齢者お断り」というところが多いため、元気なうちに入居したいというニーズもある。 ただ、介護が必要になった時に、介護を受けながら安心して暮らせるかといえば、注意が必要だ。 有料老人ホームは契約一時金を払う形態であり、運営会社の倒産等で退去を迫られることもある。 サービス付き高齢者向け住宅は高齢者が賃貸で暮らす住宅だが、サービス内容や価格設定がバラバラであるため注意が必要。 また、同じ介護付き有料老人ホームでもサービス内容や価格設定が異なり、老人福祉施設との最大の違いはこれらの点である。 民間の高齢者住宅はわかりづらく、 それらを見極める目を養うことが重要だ。
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者向けとは言っても、85歳を超えて介護が必要になった場合を想定していない住宅が多く存在する。 現在作られている高齢者住宅の8割ほどは自立/要支援向けであり、本当に介護サービスを受けられるものは全体の2割程度しかない。 現在、老人福祉施設では元気な人対象のケアハウス、中度認知症対象の養護老人ホーム、重度認知症対象の特養ホームに分かれている。 老人福祉施設を三つに分ける必要があるのは、建物の設計や介護システムの考え方が根本的に違うからだ。 自立向け住宅として入居した人たちが、介護が必要になると、生活できなくなる問題が起きている。
特養ホームを作り続けられるようなシステムが構築できれば良いのだが、それには莫大な費用がかかり、福祉対策・低所得者対策も必要になる。 財源と人材が減少しており、特養ホームを作り続けることはできない お金と人材がどれくらい必要なのか、マネジメントをする必要があるのだが、国も自治体もそれができていない。
<プロフィール>濱田孝一(はまだ・こういち)1967年生まれ。経営コンサルタント。1990年立命館大学経済学部卒業。旧第一勧業銀行入行。その後、介護職員、社会福祉法人マネジャーを経て、2002年にコンサルティング会社を設立。現在は「高住経ネット」の主幹として、高齢者住宅、介護ビジネス、介護人材育成などのコンサルティング・講演・執筆を行っている。社会福祉士、介護支援専門員、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。
第13回は社会福祉士の藤田孝典さんに、「下流老人」について聞く
第12回は、社会福祉士の藤田孝典さんに、「コロナ貧困」について聞く
第11回は評論家の樋口恵子さんと「大介護時代」ニッポンについて語り合う
ヤングケアラーとして介護に時間を割いてきたものの、「ワーク・ライフ・ケア・バランス」も考えて仕事や人生も大事にしてきた町亞聖。記者をしながらも母親の介護に努めた相川浩之。それぞれの思いもぶつけ合い、「介護談議」は盛り上がる。
第10回は、90歳の評論家、樋口恵子さんに「ヨタヘロ期』の歩き方を聞く
第9回も弁護士の平澤慎一さんに成人年齢引き下げについて聞く
若者の社会参加を促したいということで成人年齢の引き下げが決まったが、若者が力を発揮するためには安全・安心な環境が用意されていることが重要。ところが、結果的に若者を狙う悪質な商法が広がりそうな環境を国が作り出してしまった。
第8回も平澤慎一弁護士に成人年齢引き下げについて聞く
18歳、19歳の契約被害が広がってきて初めて、ことの重大性に国会議員たちは気づくのだろうか。平澤弁護士は危惧する。
第7回は、消費者トラブルに詳しい弁護士の平澤慎一さん
そこで、ゲストに消費者トラブルに詳しい弁護士の平澤慎一さんを招きし、話を聞いた。
未成年者は、親の同意なしに契約を結んだ場合、原則として取り消すことができる「未成年者取消権」に守られているが、成人年齢が引き下げられると、18歳、19歳は大人扱いされることになり、言葉巧みに結ばされてしまった契約を取り消すのは極めて難しい。このため、これまで20歳以上の若者を狙っていた悪徳商法のターゲットが18歳まで下がってきて、18歳、19歳に消費者トラブルが広がる心配がある。
どんなトラブルがあるのか。平澤さんに具体的聞く。
第6回も、Cサポ理事の窪田久美子さんに消費者教育について聞く
第5回は、Cサポ理事の窪田久美子さんに消費者教育について聞く
成年年齢引下げに必要な消費者教育には①今まさに成人する年齢の生徒たちに行う教育と、②小学校高学年から大人(18歳)になるまでに身に付けたい消費者教育ーーの2種類ある。
今回はCサポで制作された『ネットショッピングどこを見る?』という中学生向けの教材を紹介しながら、ネットショッピングで気をつけなければならないポイントを解説してもらった。
第4回も消費者教育に詳しい横浜国立大学名誉教授の西村隆男さんに聞く
日本の消費者教育をリードしてきた横浜国立大学名誉教授の西村隆男さんは、クリティカルシンキング(批判的思考)を身につけることが消費者教育の要と話す。消費者トラブル対策だけではなく、商品の価値をしっかり見極める目、その商品がどのような過程で作られてきたかという幅広い視点を持つ「消費者市民」になるための根底にも「クリティカルシンキング」があるという。それは、選挙権年齢が下がったことに伴い、しっかりと自分の頭で考えて責任ある発言をする公民権教育にもつながる部分でもある。目先の対策だけではない教育がいま、求められていると西村さんは語る。
第3回は、消費者教育の第一人者、横浜国立大学名誉教授の西村隆男さん
第2回も、映画監督の犬童一利さん。人はどのようにして大人になるのか
初回は映画監督の犬童一利さん。消費者教育用の短編映画「18歳」を製作
〈プレ番組〉60歳で小説家デビューをした鷹匠裕さん聞く
60歳に小説家デビューをした鷹匠裕さん。一般人がなかなか入っていけない空自の次期航空機選定の現場をなぜ取り上げ、描き切ったのか。(2011年2月10日夜インタビュー)
〈プレ番組〉 60歳で小説家デビューをした鷹匠裕さんに聞く
鷹匠裕さんは、定年後、小説家の道を歩み始める。「小説家では食っていけない」と思ったから、60歳までは会社勤めをしたが、これからの人生は小説を書いていくと決めた。(2011年2月10日夜インタビュー)
〈プレ番組〉作家の落合恵子さん。深夜放送で何を伝えようとしていたのか
ネットによる音声配信が人気だが、その先駆的存在として70年代の深夜放送があった。文化放送のセイ!ヤングのパーソナリティとして一世を風靡した落合惠子さんは、どんな思いでマイクに向かい、何を伝えようとしていたのか。
〈プレ番組〉 Twitterから朝日新聞の論壇時評まで大活躍の津田大介さんに聞く
人生100年時代は、同時にネットメディアの時代でもある。いろいろなことに挑戦したり、様々な考え方に触れたり、知らない世界を覗いてみたりーー。ネットメディアの上手な使い方を、Twitter、メルマガ、ポリタスTVなど、メディアを駆使するジャーナリスト、津田大介さんに聞く。
〈プレ番組〉小久保隆さん〜自然に身を置きながらも世界とつながる
環境音楽家/サウンドデザイナーの小久保隆さん。山梨県北杜市武川町のスタジオで自然と暮らしながら、ネットで海外のアーティストとつながり、新しい作品を生み出す。
〈プレ番組〉小久保隆さんに聞く〜都市空間を快適にする音作り
環境音楽家/サウンドデザイナーの小久保隆さんは、人工的な都市空間に自然音や伝統的な楽器の音色を取り入れ、安らぎの空間に変える。
〈プレ番組〉小久保隆さんに聞く〜おもてなしの呼び出し音を作る
環境音楽家/サウンドデザイナーの小久保隆さんは、ドコモ・メロディコールの呼び出し音を制作。何度呼び出して出てくれなくても、ストレスがたまらない?
〈プレ番組〉小久保隆さんに聞く〜感じるままに環境音を収録する
環境音楽家/サウンドデザイナーの小久保隆さんは、人の頭の形をしたマイクを使用。現地で聴いたままの音を収録する。
〈プレ番組〉小久保隆さんに聞く〜自然音を集めに世界に
環境音楽家/サウンドデザイナーの小久保隆さんは、人工音のしないナチュラルクワイエットを求め、世界50ヵ国を訪ねる。
〈プレ番組〉小久保隆さんに聞く〜幸福になれる電子マネーの決済音を作る
環境音楽家/サウンドデザイナーの小久保隆さんが、ドコモの電子マネー「iD」の決済音を制作。買い物をした後の幸福感を表現したという。